お題論文にならなかった論文サルベージ企画(2/25、禿論文編)
今日はタイトル通りお題論文になれなかった論文を読んでいきたいと思います。
論文の紹介に入る前に、そもそも禿げを効能効果として謳っている薬剤ってどれくらいあるのでしょう?
PMDAのサイトで脱毛を適応にもつ薬剤を成分名毎に並べて、適応症を記載してみました。(本当は外用ステロイドは塩まで記載すべきなのですが、割愛しています)
①アムシノニド(円形脱毛症)
②カルプロニウム(円形脱毛症、悪性脱毛症、粃 糠性(ひこう)脱毛症,瀰慢(びまん)性脱毛症,壮年性脱毛症,症候性脱毛症)
③クロベタゾール(円形脱毛症)
④グリチルリチン酸一アンモニウム・グリシン・DL―メチオニン(円形脱毛症)
⑤桂枝加竜骨牡蛎湯(脱毛症)
⑥ジフルプレドナート(円形脱毛症)
⑦ジフロラゾン(円形脱毛症)
⑪デプロドン(円形脱毛症)
⑫デュタステリド(男性における男性型脱毛症)
⑬トリアムシノロン(円形脱毛症)
⑭ヒドロコルチゾン(円形脱毛症)
⑮フィナステリド(男性における男性型脱毛症の進行遅延)
⑯フルオシノニド(円形脱毛症)
⑱ベタメタゾン(円形脱毛症)
ついでにOTCも(上手なセルフメディケーション OTC医薬品協会で検索したもののうち上にない成分。カッコ内は商品名)
①カシュウチンキ(カロヤン)
②チクセツニンジンチンキ(カロヤン)
③エストラジオール(ハツモール)
④トコフェロール(ハツモール)
⑤メチルテストステロン(ペレウス)
⑥ミノキシジル(1%はリアップ、5%はリアッププラス)
もうここまでで疲れ果てましたが、気を取り直して論文行きましょう!
OTCの⑥でやたら詳しく書いたのはこの論文がリアッププラスの有効性と安全性と患者満足度を調べた論文だからです。
なお、ミノキシジル1%と5%の比較の論文は全文読めないので割愛します(´;ω;`)
P:男性型脱毛症の18~49歳のイラン人男性患者17名(うち3名脱落)
E:ミノキシジル5%局所泡製剤を1mL(キャップ1杯を毎日1日1回使用、6か月)
C:(設定されていない)
O:(有効性)一定範囲での毛髪数(カメラ)
baseline:162.85±45.93→16week:181.87±52.42(P=0.015)
→24week:194.58±62.82(P=0.019)
一定範囲での毛髪数(目視)
baseline:54.92±14.06→16week:62.57±15.28(P=0.003)
→24week:69.91±15.61(P=0.002)
被験者評価:大幅改善と悪化はなし。不変は16週で5人、24週で3人。
他はわずかながらも改善。
(悪化したら脱落しているので当然の結果)
写真判定:1症例改善の写真はあるが、評価は困難なので割愛。
(安全性)患者への質問調査:特に発生せず。
有意差をもって改善しているが、単アームの少数例での前後比較でしかなく、そもそも悪化した被験者は脱落しており、評価は難しい。増えているというが、症例写真の方は確かに増えているし使う意味はありそうだが、他の方はどうなんだろう?
しかも、ディスカッションの最初に「アジア人のAGAは治療反応が異なる可能性が報告されている」とか書かれてて(´;ω;`)
ということで、いろいろ問題があってお題論文候補から外しました。
仕事辞めたさに気力が押しつぶされているので、きちんと次回更新できるかわかりませんが、2/25の居酒屋抄読会までにお題論文から外れた論文サルベージしたいです。
長々と駄文を書き連ねましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございます。
次回もよろしくお願いいたします。