窓際さんのお勉強な日々

こそっと論文読んで、こそっとメモ

4/7第△回、居酒屋抄読会in梅田 開催報告

4/7に居酒屋抄読会を開催しましたので報告します。

参加は当初はキャノン先生・ぐっち先生・にいやん先生・リンコ先生・僕・スペシャルゲストの馬淵先生の6名、後半から近所で講演後のソクラテス先生に緊急参戦していただいた結果7名での配信になっています。(論文を読み終わった後が特に楽しいので、録音を是非ご視聴ください)

 

開催案内、シナリオ、お題論文は以下から

gacharinco.hatenablog.com

 

録音は以下から

twitcasting.tv

 

 

今回はフェブキソスタットの論文を題材に扱いました。

 

前半は以前記事にしたRCTです。

フェブキソスタットの心血管イベントを評価した論文読んでみた(CARES)trial - 窓際さんのお勉強な日々

 

後半は尿酸降下療法を比較したネットワークメタ解析です。

www.ncbi.nlm.nih.gov

PMID: 27605442

 

ネットワークメタ解析(NMA)を読む際に使ったシートは以下からどうぞ

Dropbox - ネットワークメタ解析チェックシートver7.pdf

 

開催報告もかねて、NMAを読んでいきたいと思います。

 

臨床疑問は?(黒字はアブストラクトから、赤字は本文追加分)

 

P:高尿酸血症痛風18歳以上の患者

 

I/C:アロプリノール、ベンズブロマロン、フェブキソスタット(20,40,60,80,120,240mg/day)、pegloticase(8mg/2w,8mg/4w)、プロベネシド

 

O:血清尿酸値(6mg/dL以下の達成率)、何らかの有害事象

 

実際に集まったのは、30歳以上、男性比率80%以上、ベースラインの尿酸値8mg/dL超、4~52週の試験でした。

 

次にシステマティックレビューの評価

・データベース: PubMed, Medline, Embase, Cochrane Library databases ,ClinicalTrials.gov

・検索期間:~2016.1.16

・検索語:PICOごとに検索語を設定して検索。(最後のSはstudy designです)

 (P) hyperuricaemia, hyperuricemia, gout, (I) urate-lowering therapy, uric acid, urate, (C/O) allopurinol, benzbromarone, febuxostat, pegloticase, probenecid, and (S) random*, and randomized controlled trial.

・元論文:RCT、risk of bias している(appendix。ブラインドでハイリスク評価だが、検査値に影響するのか?)

・評価者:3者独立→第三者介入

・出版:英語のみ。 reference、専門家連絡なし。funnel plotは研究数が足りず実施不可

・異質性:事前登録なし。Pは大きな問題なし。Oは安全性の中身が不明

出版バイアスと異質性バイアスは避けられない感じだろうか

 

NMAの評価

・ネットワーク図:一部あり

・閉じた環:少数有(プロベネシド、ベンズブロマロン、pegloticaseは比較研究が少ない)

・直接間接比較:Table2,Fig3

・一致性:非一致なし(普通のメタ解析段階での異質性はある)

・資金源、COI:ともに開示

ほぼアロプリノール対フェブキソスタット各用量の比較(;^ω^)

 

結果

有効性(OR1より大きい=フェブキソスタットが良い)

allopurinol vs. febuxostat

  20 mg QD: OR 0.27, 95% CI: 0.13–0.59

       40 mg QD: OR 1.52, 95% CI: 1.15–1.99

  80 mg QD: OR  3.54, 95% CI: 2.80–4.47

  120 mg QD: OR 5.95, 95% CI: 4.15–8.52

       240 mg QD: OR 17.41, 95% CI: 8.22–36.89

benzbromarone vs. febuxostat

       20 mg QD: OR 0.20, 95% CI: 0.06–0.73

       120 mg QD: OR 4.37, 95% CI: 1.47–12.93

       240 mg QD: OR 12.78, 95% CI: 3.58–45.60

 

安全性(ORが1より大きい=右の薬剤が良い)

febuxostat 120 mg QD vs. allopurinol: OR 0.72, 95% CI: 0.56–0.91

probenecid vs. allopurinol: OR 8.40, 95% CI: 1.00–70.21

probenecid vs. febuxostat 40 mg QD: OR 8.56, 95% CI: 1.02–72.01

probenecid vs. febuxostat 80 mg QD: OR 9.62, 95% CI: 1.15–80.86

probenecid vs. febuxostat 120 mg QD: 11.71, 95% CI: 1.38–99.29

 

サンプルサイズが小さく95%CI(信頼区間)の幅が大きく、結果の精確性は低い。

また、尿酸(UA)を下げることは代用のアウトカムであり、UAを下げること=健康に良いとは限らないので注意。

 

おまけ

今回緊急参戦のソクラテス先生は5/26に兵庫医療大学で講演の予定とのこと。

ご都合がよろしければ、ご参加ください。

kumamoto-pharmacist.cocolog-nifty.com

あと、著書もどうぞ(5/26に持っていけばサインがもらえるはずです)

山本 雄一郎: 薬局で使える実践薬学

山本 雄一郎: 薬局で使える実践薬学