窓際さんのお勉強な日々

こそっと論文読んで、こそっとメモ

第9回CASPワークショップ広島(2019年1月20日開催)に参加してきました

<はじめに>

 

 

 

 山陰地方から中国山地を超えて毎月抄読会を開催しておられるEBM界の猛者、平社員 (@T462759) | Twitter先生が恩師の先生を招待して開催されたEBMワークショップに参加してきましたので、本記事は参加報告になります。

 

<お題論文など>

 

・研究特設サイト

seAFOod Trial

 

・お題論文

Eicosapentaenoic acid and aspirin, alone and in combination, for the prevention of colorectal adenomas (seAFOod Polyp Prevention trial): a multicen... - PubMed - NCBI

PMID: 30466866

 

・事前登録情報

ISRCTN - ISRCTN05926847: The seAFOod (Systematic Evaluation of Aspirin and Fish Oil) polyp prevention trial

 

プロトコル論文

A randomized controlled trial of eicosapentaenoic acid and/or aspirin for colorectal adenoma prevention during colonoscopic surveillance in the NHS... - PubMed - NCBI

 

プロトコル

https://njl-admin.nihr.ac.uk/document/download/2013072(2014.8改訂版)

https://www.journalslibrary.nihr.ac.uk/programmes/eme/0910025/#/より

 

 

<批判的吟味>

 

今回はCASPのワークシートに沿って読んでいきます。

 

・論文の課題

P:大腸内視鏡検査でハイリスクとされた55~73歳の英国人709名

(ハイリスクの定義(ポリープの大きさと数):10㎜以上を1個を含む3個以上か10㎜未満5個以上)

E/C: アスピリン non-アスピリン
EPA EPA2g/day+アスピリン300mg/day EPA2g/day+アスピリンプラセボ
non-EPA EPAプラセボ+アスピリン300mg/day EPAプラセボ+アスピリンプラセボ

EPAEPA-FFA1日1回からEPA-TG1日2回に変更になっている。

EPA-FFAを提供していたメーカー(Specialist in Gastrointestinal Medicines > SLA Pharma AG)が製造を止めたため

 

 

O:(主)腺腫の検出率(ADR

 (副)腺腫の数、進行した腺腫の検出率・発生数、鋸歯状腺腫の検出率・発生数、腺腫の見つかった領域、高リスクから中等度リスクへの改善、大腸がん、赤血球と直腸のEPADHA・AA濃度とEPA/AA比(ベースライン、6ヶ月、12ヶ月)、魚介類の摂取量、有害事象(特に出血)

T:1年

 

・割り付け

 ウェブベース(=中央割り付け)、「using random permuted blocks of randomly varying size. 」とあるのでブロックサイズがランダムに変わるランダム割り付けだとわかる

 

・目隠し

 参加者、研究スタッフ。

本文中にはないがプロトコルでは「調査者」、「アウトカム評価者」も盲検化されている

 

・解析

 ITT

(本文中にみられるのは 「Per-protocol analysis」だが、「Primary and secondary outcomes were analysed according to allocation, regardless of compliance with treatment, for all participants who were randomly assigned and who had observed follow-up data」という文章からITT(FASかも?)と読み取らないといけないらしい。

プロトコルでは「ITT」となっていた。

 

・施行バイアス

 TableS2で見られる。本文中に記載はないがプロトコル上、禁止されていた薬物は除外基準と同じNSAID、魚油サプリ、メトトレキサート。

 見た限り気になるような偏りは見られない。

 

・サンプルサイズ

 768(登録情報755、プロトコル論文904) 数字が一致しないが、どのみち不足している。

 

⇒サンプルサイズの不足以外は目立った問題はなさそう

 

<結果>

 

 ADRプラセボ61%、EPA63%、アスピリン61%、アスピリン+EPA61%

 

EPA vs non-EPA RR0.98 95%CI:0.87~1.12

アスピリン vs non-アスピリン RR0.99 95%CI:0.87~1.12

 

有害事象は下痢主体

 

 

 

<まとめ>

 

 見事に主要評価項目に差は見られなかった。会場で上がった声としては「試験期間が短すぎたのでは?」ということ。

 サンプルサイズの計算の根拠に用いられたアスピリンの試験は5年のRCT終了後20年追跡したもの。

 しかし、内視鏡検査ができずアウトカムの評価ができなかった症例が66名(約9.3%)。試験期間を延ばせばこうした評価不能例や脱落でもっと多くのサンプルサイズが要求されたのではないかと思われる。(本試験は必要数集められなかったので、これ以上の募集は困難だったのではないだろうか)

 のぶのぶEBM (@nobukin55) | Twitter(平社員先生の師匠)の解説「検出数は下がっており(アスピリンで0.78、95%CI:0.68~0.90)、介入の有効性は期待できる」だろうとのこと。

 

 

 

<おしらせ>

 

2019年2月開催のワークショップです。

(ともにシステマティックレビューがお題です)

 

ご都合のつく方は是非ふるってご参加ください!

(ちなみに、僕はただの参加者です)

 

2月17日 第4回兵庫医療大学Student CASP Workshop

 

第24å CASP ã¯ã¼ã¯ã·ã§ããin岡山

第24回 CASP ワークショップin岡山 2019年2月24日(岡山県) - こくちーずプロ(告知'sプロ)