COPD治療で死亡率を減らせる治療は?→この研究ではインダカテロールだったが、根拠は弱そう
<はじめに>
明日(2019.1.27)にJJCLIPが開催されます。
お題がネットワークメタ解析なので、いい加減チェックシートを改訂しようと思ったため、本記事の作成に至りました。
改訂版チェックシート:Dropbox - ネットワークメタ解析チェックシートver8.pdf
JJCLIPのお題論文、シナリオ、視聴サイトについては以下のリンクよりどうぞ。
なお、お題論文は本ブログで記事にした以下の論文です。
<お題論文>
PMID: 26559138
<読んでみた>
①妥当性の評価
P:COPD患者
I/C:14種の治療
→チオトロピウム、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルチカゾンプロピオン酸エステル、トリアムシノロン、bambuterol、ホルモテロール、サルメテロール、サルブタモール、インダカテロール、テオフィリン、roflumilast、インダカテロールマレイン酸塩、イプラトロピウム臭化物、ビランテロールトリフェニル酢酸塩、フルチカゾンフランカルボン酸エステル、プラセボ、上記の組み合わせ
インダカテロールとインダカテロールマレイン酸塩の違いが判りません(´;ω;`)
O:全死亡
集まった研究:イプラトロピウムの研究のみ40歳前後、他は60歳強。用法用量に制限なし。
②SR
・データベース:EMBASE(1988~)、CENTRAL(1898~)、MEDLINE(1946~)、MEDLINE In-Progress(1946~)
・検索期間:~2012.10
・検索語:記載なし(リストとして提示されていない)
・元論文バイアス:無
RCTを集めており、risk of bias toolで評価した結果がTableS2に示されている。Zheng 2007とZhong 2012がIncomplete outcome dataでハイリスク評価になった以外は概ねlow risk
・評価者バイアス:有
独立して評価した旨の記載がない。当然意見対立時の解決法も記載がない。
・出版バイアス:不明
探した研究は英語のみ。参考文献など探したという記載はない。
・異質性バイアス:不明
本研究の事前登録はない。アウトカムは死亡であるため、統合は可能。
③NMA
・ネットワーク図:有(Fig.2)
・閉じた環:少数有
・比較ごとの研究数やサンプルサイズ:少ない(チオトロピウムのみ多い)
・直接比較と間接比較を分けて記載:無
・一致性:不明
・資金源の開示:有(GSK)
・COIの開示:有(著者の一人はGSK社員)
④結果
Fig.3(random effects modelより)
インダカテロール HR0.29 95%CI:0.08~0.89
他に有意差はない(チオトロピウム合剤系の死亡増加傾向が気になる)
多くの研究でエラーバーが大きく精度不足は否めない(要はまだまだ研究する必要がありそうだし、研究が増えれば結果が変わる可能性は十分にある)
UPLIFTのような何度も死亡のアウトカムを検証している試験では、どのアウトカムを採用したかで結果が変わりそうですが、表を見る限り、1470日(試験終了30日後)「941 patients died: 14.9% in the tiotropium group and 16.5% in the placebo group (hazard ratio, 0.89; 95% CI, 0.79 to 1.02)」の死亡に有意差が消えた時点のものを採用しているようです。
<まとめ>
久々に改訂しましたが、まだまだ完成には遠そうです(´;ω;`)
(NMAの世界にもGRADEでの評価の流れが来ているので。当然ですが)
Dropbox - ネットワークメタ解析チェックシートver8.pdf
チェックシートともども本ブログを温かく見守っていただけると幸いです。