窓際さんのお勉強な日々

こそっと論文読んで、こそっとメモ

2019.2.17(日)、兵庫医療大学 Student CASPに参加してきました

<はじめに>

 去る2/17に兵庫医療大学にて開催されたStudent CASP Workshopに参加してきましたので報告します。

 

<お題論文>

 

SGLT2 inhibitors for primary and secondary prevention of cardiovascular and renal outcomes in type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysi... - PubMed - NCBI

PMID: 30424892

 

<批判的吟味>

 

・研究課題

P:2型糖尿病

I:SGLT2阻害薬(エンパグリフロジン、カナグリフロジン、ダパグリフロジン)

C:プラセボ

O:(有効性)3P-MACE(心筋梗塞脳卒中、または心血管死)、心血管死+心不全による入院、腎疾患の進行

 (安全性)下肢切断、骨折、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)

 

・方法(メガトライアルのメタ解析なのでSRの評価が当てはまるのか不明だが)

データベース:MEDLINE、EMBASE

検索語:2型糖尿病、3P-MACE、SGLT2阻害薬(エンパグリフロジン、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、ertugliflozin)

 ※ertugliflozinはFDAが承認した4剤目のSGLT2阻害薬(日本未発売)

Steglatro (ertugliflozin), Steglujan (ertugliflozin and sitagliptin), Segluromet (ertugliflozin and metformin hydrochloride) Tablets

STEGLATRO™ (ertugliflozin) | Official Site

検索期間:~2018.9.24

元論文:RCT(CANVAS Program、EMPA-REG OUTCOME、DECLARE-TIMI58)、risk of biasはすべてlow

 

 個々の論文の記事は以下のリンクよりどうぞ(CANVAS Program記事にしてなかったっけ?)

 

zuratomo4.hatenablog.com

 

 EMPA-REG OUTCOMEは以下のリンクになります

zuratomo4.hatenablog.com

 

評価者:二者独立→協議

出版:英語のみ 参考文献などは不要(もともとSGLT2阻害薬の3つのメガトライアルのメタ解析が目的であったため)

 

・結果(統合はすべてfix-effect modelで行われている+統合された総計がすべて本文から除外されている)

 

FigS2(3P-MACE) HR0.89 95%CI(0.83~0.96) I2=0%

FigS9(心血管死+入院) HR0.77 95%CI(0.71~0.84) I2=50.7%(エンパが外れ値)

FigS17(腎) HR0.55 95%CI(0.48~0.64) I2=0%

FigS18(下肢切断) HR1.26 95%CI(1.06~1.51) I2=79.1%(カナが外れ値)

FigS19(骨折) HR1.11 95%CI(1.00~1.23) I2=78.2%(カナが外れ値)

FigS20(DKA) HR2.20 95%CI(1.25~3.87) I2=0%

 

<まとめ>

 

 TIMIグループによるSR&MA。(DECLARE-TIMI58の結果が出た時点でMAする予定だったとの記載あり。また、PRISMAチャートでDECLARE-TIMI58が検索によらず解析にねじ込まれていることからもDECLARE-TIMI58のためのMAであることがわかる)

 ダパグリフロジンがプラセボに対し有意に心血管イベントを減らせなかったため、他のSGLT2阻害薬とMAすることでクラスエフェクトを謳いに出た敗者復活戦のような研究といったところだろうか?

 脱水や感染症(尿路感染)がアウトカムに加えられていないのが気になる。また、異質性が高いアウトカムまでfix-effect modelで処理するべきではないと思う。結果として有効性でも安全性でもrandom-eefect modelなら有意差が消えそうなのもがちらほら。