窓際さんのお勉強な日々

こそっと論文読んで、こそっとメモ

ビラスチンの弁当会(勉強会に餌付け用の弁当がついてるやつ)に行きまして(;^ω^)

医療従事者の皆さん、弁当会好きですか?

僕は嫌いです。

タイトルにした餌付け感がとかいう意識の高い理由ではなく、そもそも冷めたご飯が嫌いなので弁当全般があまり好きでないという理由からです。

 

メーカーのプレゼンを聞いていると、ネットワークメタ解析で見られる有効性と安全性の順位に基づいたグラフを提示していたので、探してみました。

 

・・・見つからなかったです(´;ω;`)

そもそもメタ解析なんてされてないじゃん!

オリジナルなの?見えなかったけど引用文献書いてあったように見えたけど。

 

仕方ないので、アレルギー性鼻炎の情報を集めときます。(蕁麻疹はそのうちやります)

すでに論文を読んで記事にされているブログは多数あるので、リンクは貼ってませんがそちらをご参照ください。「ビラスチン」でぐぐればすぐにでますので。

 

もう市販されているわけですし、販売時点でのレビューは個人的にですが承認時審査資料を見るようにしています。ボリュームはともかく、日本語ですのでオススメです。

医療用医薬品 情報検索 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

で「ビラスチン」と検索。下の審査資料のチェックを入れるのを忘れずに。

そうすると、

http://www.pmda.go.jp/drugs/2016/P20161025003/index.html

が出てきます。

 

先ずは、第二相臨床試験から(minimal先生のブログの一つ目の論文ですね。インタビューフォームに日本語あります。)

Therapeutic effect of bilastine in Japanese cedar pollinosis using an artificial exposure chamber (OHIO Chamber). - PubMed - NCBI

論文の内容と結果は

P(対象者):20-60歳のスギ花粉症の患者で2年以上症状があって、花粉の飛散する時期に治療を受けている血清IgE陽性の者126名。

(除外:重症全身性疾患、副鼻腔炎などの鼻症状の評価に支障をきたす障害、試験開始前に次の治療を受けていた者ステロイド注射(180日)経口もしくは局所ステロイド(90日)P-糖タンパク阻害作用を有する薬物(90日)、妊婦・授乳婦、気管支喘息、花粉曝露開始後4時間での鼻汁量が2g以下、投与前に総合鼻症状スコア(TNSS、0~16点)が2点以上改善したもの)

E1(介入1):ビスラチン10mg→(12時間後)プラセボ

E2(介入2):ビスラチン20mg→(12時間後)プラセボ

C1(対照):プラセボ→(12時間後)プラセボ

C2(陽性対照):フェキソフェナジン60mg→(12時間後)フェキソフェナジン60mg

O:1回目の治験薬投与後0~3時間後のTNSSの合計(per protocol setで解析。13評価時点なので最重症の最高得点は208点?)

プラセボ85.0±31.1、フェキソフェナジン73.3̟̟±26.0、ビスラチン10mg69.7±26.7、ビスラチン20mg67.7±28.4(プラセボに対して各群で有意差あり。ビスラチン20mgとフェキソフェナジン群の間にも有意差あり)

f:id:zuratomo4:20161223154614p:plain

(IFより試験概要。クロスオーバー試験)

プラセボに対する優越性を見る試験なので、フェキソフェナジン群はあくまで参考。有意差がついたといってもビスラチン20mgのほうがフェキソフェナジンより良いかもレベル。(試験登録番号JapicCTI-132213)

 

お次は第三相臨床試験スギ花粉症(季節性)から通年性アレルギー性鼻炎に対象が変更になっていますが、なんでだろう?

Efficacy and safety of bilastine in Japanese patients with perennial allergic rhinitis: A multicenter, randomized, double-blind, placebo-controlled... - PubMed - NCBI

試験デザイン:ランダム化二重盲検並行群間比較試験(ダブルダミー)、プラセボ優越性試験。ランダム化に層別最小化法を用いているので未知の交絡因子には弱い。

P:18~74歳の2年以上症状のある通年性アレルギー性鼻炎の患者765名。試験開始前のTNSSの合計が16~45点。期間中のTNSSの記録記入と服薬が80%以上あること

(除外:第二相のものに加えて、登録後からランダム化までの間にTNSSが40%以上改善。通常の抗ヒスタミン薬の治療に反応しなかった者、試験開始前の7日間で、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン剤、抗コリン作用薬、鼻/眼血管収縮薬、非処方薬、または水酸化アルミニウム/水酸化マグネシウム薬を服用)

E:ビスラチン20mg 1日1回朝

C1:プラセボ 1日2回

C2:フェキソフェナジン60mg 1日2回(あくまで参考)

O:試験開始10~13日でのベースラインからのTNSSの平均変化量(Full Analysis Setで解析、追跡率97%以上)

プラセボ-0.63(-0.84〜-0.42)、ビスラチン-0.98(-1.19〜-0.77)フェキソフェナジン-0.96(-1.17〜-0.75)でプラセボに対してビスラチン、フェキソフェナジンで有意差あり

 

 

ここまで読んで、フェキソフェナジンで良くないか?フェキソフェナジンが効かないならビスラチン試す価値はあるかも?くらいにしか思えないんだけど。

(弁当会では効果の強さと速効性をアピールしてたけど、どちらも差がないし)

 

参考までに海外での第三相臨床試験も載せときます(2つあるうちの無料で全文読める方)

Comparison of the efficacy and safety of bilastine 20 mg vs desloratadine 5 mg in seasonal allergic rhinitis patients. - PubMed - NCBI

対象疾患:季節性アレルギー性鼻炎

試験デザイン:ランダム化二重盲検並行群間比較試験

P:12~70歳の2年以上症状のある季節性アレルギー性鼻炎の患者721名。

(除外:副鼻腔炎などの鼻症状の評価に支障をきたす障害、過去3か月以内に他の臨床試験に参加していた

E:ビスラチン20mg

C1:プラセボ

C2:デスロラタジン5mg

(外観を似せるためにカプセルに錠剤入れた?)

O:day0~14の全症状スコア(鼻4項目0~3点+鼻以外のスコア7項目0~3点の合計)の曲線下面積(AUC)vsプラセボ、デスロラタジン

プラセボ118.4(SE:62.7)95%CI[110.5-126.3]、ビラスチン98.4(58.1)[90.9-105.9]、デスロラタジン100.5(54.6)[93.6-107.4]

プラセボに対して有意差あり。