窓際さんのお勉強な日々

こそっと論文読んで、こそっとメモ

新年あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

 

新年最初の記事は、熊本温泉抄読会のおさらいで行きたいと思います。

本来であれば、旧年中に済ますべきものだったのですが、気力がわかず(;^ω^)

 

抄読会の案内は以下のリンクからお願いします。

12/29(木)熊本温泉抄読会配信のご案内 - pharm-niiyan’s diary

にいやん先生、いつもありがとうございます。

そして、抄読会の録音は以下のリンクからお願いします。

後半は酔ったおっさんが管を巻いているだけという(;^ω^)

熊本温泉抄読会 - TwitCasting

 

温泉抄読会 仮想症例シナリオの作成を担当させていただきました。

読み返すとなかなか恥ずかしいものでして。 

 

【不眠で悩む母】

 

貴方は保険薬局に勤務する薬剤師です。

 

年末のあわただしい仕事が終わり、年末年始の休暇。

実家での年越しのため久々の帰省をした貴方。

 

晩御飯も終わり、テレビを見ながらくつろいでいると、

 

母「最近寒くて、なかなか寝付けなくてねぇ。暖房は効かせてるし、テレビでいいって言ってた湯たんぽも使ってるんだけどねぇ。寒さで朝も早く目が覚めるし。年のせいって言ってももっとしっかり眠りたいの」

 

あなた「昼間に眠気がなくて、生活に支障なければいいんじゃない」

 

母「そうじゃなくて!寝付けなくて布団にもぐっているだけの時間が嫌なのよ。お薬に頼るのも週刊誌にあったみたいにぼけたら怖いし。この間テレビで足湯がいいって言ってたけど、足湯なら薬も使わないしいいと思うんだけど。あなたはどう思う?」

 

あなた「今なら時間あるし、調べてみるわ。待ってて」

 

(結局、健康番組の情報かよ)と思いながら、pubmedで「footbath sleep」と入力して「free full text」に限定して検索してみました。Clinical Queriesではめぼしい論文がヒットしなかったため、https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmedの検索窓で「footbath sleep」で検索してみたところ以下の論文が足湯と冬の睡眠について研究していたため、「これだ!」とばかりに読んでみることにしました。

 

Effects of bathing and hot footbath on sleep in winter.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/10979246/

PMID:10979246

 

以下、母の情報

【年齢】

63歳

【現病歴】

糖尿病、高血圧、脂質異常症、便秘症

【喫煙】

 なし

【飲酒】

 機会飲酒

【服用中の薬剤】

メトホルミン250mg 1回2錠 1日3回 毎食後

シタグリプチン50mg 1回1錠 1日1回 朝食後

アムロジピン5mg 1回1錠 1日1回 朝食後

トリクロルメチアジド2mg 1回1錠 1日1回 朝食後

ロスバスタチン5mg 1回1錠 1日1回 朝食後

酸化マグネシウム330mg 1回1錠 1日3回 毎食後

【服用中のサプリメント】(  )内は母の服用目的のうち聴取できたもの

 チアシード(ダイエット)、エゴマ油(血管がどうとか?)

 

お題論文へ至った検索も載せていますので、参考になれば幸いです。

 

論文の内容は

P:9人の健康なボランティア(女性、学生8人、教員1名で21~40歳)

E1:入浴(40℃、20分、肩までつかる)

E2:足湯(42℃、30分、膝まで)

C:何もしない

O:睡眠の特徴、体温、体動、睡眠感で評価(アウトカムが多すぎるのでいかに抜粋)

 総睡眠時間→E1:398.06分、E2:393.83分、C:379.39分

 入眠までの時間→E1:11.22分、E2:15.5分、C:29.39分(E1E2はCに対して有意差あり)

 直腸温→E1:36.5度以上で推移。他2群より約1℃高く、有意差あり

 皮膚温→入床30分はC群で有意に低いが、その後は差なし

 体動→入床30分はC群で有意に多いが、その後は概ね差なし

 睡眠感(OSAで評価)→E群で改善。

 

※OSAとは、小栗 貢・白川修一郎・阿住一雄 1985 OSA睡眠調査票の開発 -睡眠感評定のための統計的尺度構成と標準化- 精神医学, 27, 791-799.で報告された起床時の睡眠内省を評価する心理尺度。自記式睡眠調査票。第 1 因子が起床時眠気、第 2 因子が入眠と睡眠維持、第 3 因子が夢み、第 4 因子が疲労回復、第 5 因子が睡眠時間の 5 因子、計 16 項目から構成。5因子とも各 50 点とし、得点の極性は、睡眠感が良好なほど高得点となる。

 

 Oが多すぎて、どれかしら有意差つくやろって内容。まあ医学論文ではないので、構成がやや異なるのも致し方ないかと。

研究室単位で行われた研究なので、年齢は若いのでシナリオにそのまま適応はできないが、まあやって問題ないかと。

 それより、おしりに直腸温を測定するのを12cmまで挿入しながら寝るのってきついなぁ。よくやったな。

 それから、この論文を出した九州芸術工科大学って、この論文の発表の3年後に九州大学に吸収合併されたのね。下手なギャグみたいだ(;^ω^)

 

新年早々、旧年中の抄読会のおさらいにお付き合いいただきありがとうございました。

本年もよろしくお願いいたします。