奈良コクランレビュープロトコールワークショップに行ってきました
かなり遅くなりましたが、6/24に開催されました奈良コクランレビュープロトコールワークショップに参加してきましたので、報告したいと思います。(参加者の中に薬剤師が自分一人で寂しかったので、参加者増を勝手に目指しての宣伝目的の記事ですので、興味のない方はソッ閉じをお勧めします)
NPO法人日本コクランセンターの開催するワークショップで、コクランレビューを書くために必要なタイトルの事前登録を目指して開かれているものです。(10月頃に全手順を網羅したフルワークショップが開催予定です)
事前課題として臨床疑問を2~5個用意してくることと、Pubmedの超初級を知っておくことが設定されています。(僕は行きの電車の中で考えましたw)
そもそも、システマティックレビューとは、構造化された疑問(要はPECOと疑問の種類のこと)にフォーカスをあて、似ているが異なる研究を探して、事前に規定された方法で選択・評価しまとめることを指し、通常データとして統合することが可能であればメタ解析を行うものです。
PICOの設定からレビュー出版までには、他のレビューとの重複を回避するための事前審査があり、メールにてマネージングエディターの評価を受け、その関門を通過後タイトル登録フォームにてレビューグループの評価を受け、そこを合格して初めてタイトルの登録が可能になります。(レビューグループの評価会議は、分野によって開催頻度が毎月~年1、2回であるため、この過程で1~2年かかることもあるとのこと)(また、既報のRCTが複数ないとメタ解析できないため登録はほぼ無理とのこと)
文献の選択基準となるP(参加者)、E(介入)の定義と研究デザインを決定したら、実際の文献検索に入ります。ここではタイトルとアブストラクトに表記され、他と区別しやすいP(参加者)、E(介入)と研究デザインで検索をかけていきます。検索にはテキストワード(同意語、関連用語、反対語、複数形などの表現、短縮とワイルドカードの使用の可否、インターフェース毎に変わる)と統制語(データベース毎に呼び名ごと変わる。Medline=MeSH,Embase=EMTREE)の両方を使って検索を行います。検索はどのデータベースを何時どのように行ったかを記録しておく必要があります。
ワークショップではこの後、Revmanを用いたメタ解析体験でした。(ソフトウェアのダウンロードは以下のリンクから。)
まずは効果の指標から。性別のような2値変数、血圧のような連続変数、都道府県のようなカテゴリー変数があり、指標の実例としては、2値変数ではリスク比・オッズ比・リスク差があり、連続変数では平均値の差(MD)・標準化された平均値の差(SMD)、生存時間の場合ハザード比で表現します。
統合方法は、1つの真の値があり研究間の差は偶然のバラツキと仮定するfixed effects modelと、研究毎に真の値があり真の値がばらついていると仮定するrandom effects modelがありますが、通常はrandom effects modelを選んだ方が無難です。(感度分析として追加でfixed effects modelをするのはありかと)
で、ここまで約3時間くらいかかって書いてきたのですが、実はここまでの内容を説明した動画がyoutubeにあったりします。よければご覧ください。
なお、参加費がコクラン非会員で1万5千円しますので、気楽に参加できる金額ではありませんが、将来コクランレビューを書くことを目指すのであれば、コクランレビューを書いた先達と知り合える貴重な機会ですので、ご一考いただければ幸いです。
今回の記事はここまでになります。次回のワークショップは転職後のタイミングであるため参加できるかは不透明ですが、できる限り参加したいと考えています。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。