窓際さんのお勉強な日々

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11/19 居酒屋抄読会in東京、開催報告

 去る11/19に東京駅近くの居酒屋で、東京では初めてとなる居酒屋抄読会を開催いたしました!

 今回は、乙ありぃ先生、いっつん先生、たけちゃん先生に参加していただき、2017年に発表されたてのDOACのリアルワールドデータの論文を読みました!

 

お題論文はコチラ

(全文フリーではありませんが、動画内にて結果の解説がありますので、手ぶらでご視聴ください)

Effectiveness and Safety of Non-Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants in Asian Patients With Atrial Fibrillation. - PubMed - NCBI

PMID: 28974629

 

配信の録音はこちらから

twitcasting.tv

続き

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韓国の保険診療データ(国民の97%が加入、毎年公表されている)

DOACがCHA 2 DS 2 -VAScスコア≧ 2でないと適応にならないため、ワーファリンを対照にプロペンティシティスコアで1:2になるようマッチさせて解析しているデータになります。なお、DOAC群の52%は減量用量で使用されています。

 

論文のPECO

P:CHA 2 DS 2 -VAScスコア≧ 2のAF患者のうち新規使用者(2014~2015)

E:DOAC(リバロキサバン5681名、ダビガトラン3741名、アピキサバン2189名)

C:ワーファリン(プロペンシティスコアでマッチさせた23222名)

O:①虚血性脳卒中②頭蓋内出血③全死亡

T:平均追跡期間1.2年(アピ0.4年、リバ0.5年、ダビ0.55年、ワーファリン1.5年)

 

結果

① HR0.98 95%CI:0.78~1.22

② HR0.50 95%CI:0.36~0.68

③ HR0.70 95%CI:0.59~0.81

④ ①+②+③(ネットクリニカルアウトカム)HR0.79 95%CI:0.65~0.94

 

研究の限界として、INRがわからない(TTR、HAS-BLED算出不能)、DOAC群の追跡期間の短さ(適応拡大で使用量が増えたのが2015.7以降の為)

 

 

話し合ったこと(一部抜粋)

1.重症度とDOACの値段の問題

自宅(使える)→回復期・老健(使えない)→在宅訪問診療(使える)→長期療養(使えない)と、重症度の上昇に応じて使えたり使えなかったりするというでたらめな制度設計(-_-;)

 

2.DOACが広がることで起きた臨床の場での変化

(乙先生によるキャス前の事前レクチャーより)頭蓋内出血が起きても、時間経過による血腫の拡大がDOACでは小さい。(下記は一例)

Characteristics of intracerebral hemorrhage during rivaroxaban treatment: comparison with those during warfarin. - PubMed - NCBI

 

3.AF患者の入院期間の短縮ができる(ただし、制度設計の問題で薬価の都合による老健等の引受先がなくなる)

 

当日ご視聴いただいた皆様、ありがとうございます。

乙先生のレベルの高い解説を是非とも録音にてお楽しみください。