日本のRCT報告の質は?(CONSORT声明順守率)
<はじめに>
RCTそのものの質を報告した貴重な研究を紹介しましたが、報告様式の質の研究(これまた貴重)がありますので、そちらも紹介したいと思います。
<お題論文>
PMID: 19252352
<読んでみた>
①RQ
P:2004.1~2004.3.31までに発表された日本のRCT
O:CONSORT声明の順守率+倫理的配慮+資金源
②方法
データベース:MEDLINE
検索期間:2004.1.1~2004.3.31
検索語:RCT、JAPAN
評価者:二者以上独立→協議
出版:英語
③結果
Table1(背景):国内誌36%、専門誌98%、CONSORT声明採用誌11%、構造化抄録68%、サンプルサイズ50未満50%、並行群間試験92%
Table2(各項目の順守率)
・タイトルでRCTとわかる:81%
・イントロで研究背景説明してる:70%
・組み入れ基準がある:71%
・データ収集の場:46%
・介入の内容:93%
・目的もしくは仮説:94%
・アウトカムの定義:26%
・サンプルサイズの計算:23%
・打ち切り基準:7%
・ランダム割り付けシーケンス(乱数表)の発生方法:39%
・ランダム化の制限:21%
・隠蔽化:17%
・乱数表の作成者:15%
・誰が盲検化されているか:29%
・盲検化は維持されているか:0%
・プライマリアウトカムの統計処理:100%
・サブグループ解析の解析方法:11%
・被験者の流れを文章でしめしたか:30%
・被験者の流れを図でしめしたか:6%
・プロトコル違反と理由:45%
・募集とフォローアップ期間:8%
・ベースラインデータを示したか:91%
・解析にまわった数(ITT):53%
・結果の効果推定値と精度:8%
・サブグループ解析:3%
・有害事象の報告:54%
・結果の解釈:52%
・外的妥当性:61%
・これまでの研究との比較:98%
Table3(倫理、資金源)
・倫理委員会:82%
・インフォームドコンセント:91%
・資金源:20%
<まとめ>
2004年の日本のRCTの報告様式はこんな感じだったという貴重な報告でした。
論文では、CONSORT声明採択誌とそれ以外で結果を示しているのですが、入力の都合で全体の値のみを示しています。
単年の研究では「まあ当時はこんなもんか」くらいしか感想が出てきません。経年での変化が知りたいところです。
中国ではこうした質の研究も盛んにおこなわれていますが(論文発表×IFでボーナス出るとか聞いたけど真偽不明)、日本での質評価も見たい今日この頃。