左室駆出率が保たれた心不全(Heart failure with preserved ejection fraction:HFpEF)の薬物治療には何が良いですか?→良い選択肢はないがスピロノラクトンとエプレレノンがマシ
<はじめに>
4/21、21時開催JJCLIP #67「駆出率が保持された心不全にはどんな薬がよいのでしょうか?」を予習した際に、シナリオの患者さんの質問がアバウトなので、アバウトな質問に答えるのはこの論文(Spironolactone for heart failure with preserved ejection fraction PMID: 24716680)じゃなくね?と思って調べてみました。
(全文無料でよいものとなるとお題論文が一番良い選択ではあると思うのだが)
4/21といえば明日!新年度一発目は初心者様歓迎企画!皆様でぜひご視聴ください!
https://aheadmap.or.jp/jjclip-67
そもそもHFpEFに有効性を示した介入はないのですが、なぜかネットワークメタ解析があったので読んでみました。
<お題論文など>
Pharmacological treatments for heart failure with preserved ejection fraction-a systematic review and indirect comparison.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=29411216
PMID: 29411216
事前登録情報
https://www.crd.york.ac.uk/prospero/display_record.php?RecordID=78668
PROSPERO:CRD42017078668
http://www.asas.or.jp/jhfs/pdf/topics20180323.pdf#search='HF%EF%BD%90EF'
心不全の最新知見
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/106/3/106_510/_pdf
高齢者の循環器診療 update 高齢者心不全―左室駆出率の保たれた心不全を中心に―
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/55/1/55_55.34/_pdf/-char/ja
居酒屋抄読会in中州で読んだ論文がHFrEFに対するangiotensin receptor-neprilysin inhibitor LCZ696でしたが、HFpEFにも期待されているようなのでよかったらご視聴くださいhttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25176015(PMID: 25176015)
https://twitcasting.tv/zuratomo4/movie/505784566
https://twitcasting.tv/zuratomo4/movie/505790858
<読んでみた>
P:HFpEF(ESC2016ガイドライン準拠)→LVEF≧50%、18歳以上
I/C:MRA、β遮断薬、ACEI/ARB→エプレレノン、エナラプリル、カルベジロール、ペリンドプリル、シルデナフィル、sitaxentan、スピロノラクトン、ベラパミル
O:死亡率、入院、indexes of cardiac structure and function、バイオマーカー、QOL、6MWD
データベース:MEDLINE、EMBASE、CENTRAL、clinicaltrials.gov
検索語:MRA、β遮断薬、ACEI/ARB、利尿剤、HFpEF
検索期間:~2017.8
元論文:RCT コクランツールで評価→15研究中10研究が高質
評価者:2者独立→合議もしくは第三者介入
出版:言語制限なし、ref・専門家連絡→?、funnnel→やっているが、研究数少なくやらなくてもよいのでは?と思った
異質性:事前登録あり、P,O→大丈夫
ネットワーク図:ないが「no close loop」という記載あり
資金源・COI:COIは開示されているが資金源は?
結果:
Table1→Hung2002のみblindがhigh risk
Table2→Lui2006のみ参加者年齢不明、Pitt2014(TOPCAT)が参加人数の大半を占めている
Table3→死亡(対スピロノラクトン)シルデナフィル 0.14(0.01~2.78)、スピロノラクトンvsペリンドプリル 0.87(0.59~1.28)、エプレレノン 0.91(0.25~3.33)
Table4→入院(対エナラプリル)sitaxsentan 0.27(0.02~3.93)、スピロノラクトン0.52(0.05~5.62)、シルデナフィル 0.48(0.04~5.74)、ペリンドプリル0.57(0.05~6.34)、エナラプリル0.57(0.04~7.55)、カルベジロール0.90(0.03~25.34)
<まとめ>
有意差をもってプラセボに比べ設定されたアウトカムを改善した介入はなく、介入個々を比べても有意差をもって設定されたアウトカムを改善したものは見当たらなかった。
ただ、一貫してよい傾向を示したのが、死亡ではスピロノラクトン、入院ではエプレレノンだった。