窓際さんのお勉強な日々

こそっと論文読んで、こそっとメモ

アルコール依存症のお薬は何が良い?⇒データが足りなくて結論出せなかった(´;ω;`)

<はじめに>

 

 ほかの研究を紹介しようと執筆中ですが、図表の作成に手間取っており、たまたま本日ナルメフェンの院内勉強会があったので、以前読んだアルコール依存症薬物治療のネットワークメタ解析を書くことにしました。

 

<お題論文>

 

Pharmacologically controlled drinking in the treatment of alcohol dependence or alcohol use disorders: a systematic review with direct and network meta-analyses on nalmefene, naltrexone, acamprosate, baclofen and topiramate.

PMID: 28940866

 

・事前登録情報

http://www.crd.york.ac.uk/prospero/display_record.php?ID=CRD42015019841

 

<読んでみた>

 

①リサーチクエスチョン

 

P:アルコール依存症またはアルコール使用障害の患者→18歳以上

I/C:ナルメフェン、naltrexone、アカンプロサート、baclofen、topiramate→単剤療法

O:(主)アルコール総消費量、(副)多量飲酒日数(HDD)、非飲酒日数、飲酒日数、飲酒日当たりの飲酒量、有害事象、重篤な有害事象、安全性上の理由による脱落、死亡率

 

シアナマイド、ジスルフィラムは組み入れられていない

※topiramateは国内で適応ないため英字表記としました

 

②システマティックレビューの評価

 

・データベース:MEDLINE、CENTRAL、EMBASE

・検索語:薬剤成分名、alchol

・期間:不明(見つかったのは1999~2015の研究)

・元論文:不明⇒RCTのみ(32RCT)、incomplete outcome data(脱落の扱い)でhigh riskが目立つ

・評価者:無⇒2者独立、意見対立時第三者介入

・出版:不明⇒英語、仏語、スペイン語 reference→検索した、funnnel plot→したがアウトカムによって研究数が不足しており評価が難しい

・異質性:無⇒事前登録あり、P、Oとも統合は可能そう

 

③ネットワークメタ解析の評価

 

・ネットワーク図:すべてのアウトカムについて示されている

・閉じた環:全くない(star-shape)

・資金源、COI:ともに開示されている

 

④結果(有意差があったもののみ)

 

プラセボ SMDかOR(95%CI)、赤字は異質性高い

 

TAU(SMD):ナルメフェン -0.19(-0.29~-0.10)、baclofen -1.00(-1.80~-0.19)、topiramate -0.77(-1.12~-0.42)

・HDD:ナルメフェン -0.22(-0.32~-0.12)、topiramate -0.59(-0.96~-0.22)

・非飲酒日数:topiramate 0.45(0.15~0.75)

・AE:ナルメフェン  2.00(1.52~2.65)、naltrexone 2.21(1.36~2.59)

 

間接比較

 

TAU(SMD):baclofen-naltrexone 0.90(0.01~1.79)、baclofen-アカンプロサート 0.96(0.02~1.89)、topiramate-ナルメフェン 0.60(0.15~1.06)、topiramate-naltrexone 0.69(0.22~1.16)、topiramate-アカンプロサート 0.75(0.20~1.3)

※低減量になっており正数ほど左側薬物がTAUを減らしたという意味。対プラセボと書き方が異なるのでご注意ください。

 

<まとめ>

 

topiramateが最も効果が高く見えるが、研究の質・量ともに不足しており今後の研究で効果推定値は容易に変わりうる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<おまけ>

 

保 医 発 02 25 第 9 号平成 31 年2月 25 日

https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190228_4.pdfにて、

「(1) セリンクロ錠 10mg
① 本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において「アルコール依存症治療
の主体は心理社会的治療であることから、服薬遵守及び飲酒量の低減を目的とし
た心理社会的治療と併用すること。」とされているので、本製剤の薬剤料について
は、以下のすべての要件を満たした場合に限り算定できること。
アルコール依存症の患者に対して、アルコール依存症に係る適切な研修を修
了した医師が、アルコール依存症に係る適切な研修を修了した看護師、精神保
健福祉士、公認心理師等と協力し、家族等と協議の上、詳細な診療計画を作成
し、患者に対して説明を行うこと
イ 必要に応じて患者の受入が可能な精神科以外の診療科を有する医療体制との
連携体制があること
ウ 心理社会的治療については、アルコール依存症に係る適切な研修を修了した
医師によって行い、その要点及び診療時間を診療録に記載すること
なお、少なくとも本剤の初回投与時においては、30 分を超えて当該治療を行
うこと(本剤の初回投与までの診療時において 30 分を超えて当該治療を行った
場合を除く)
エ ア及びウに定めるアルコール依存症に係る適切な研修は、「診療報酬の算定方
法」(平成 20 年厚生労働省告示第 59 号)別表第一医科診療報酬点数表(以下
「医科点数表」という。)区分番号「A231-3」重度アルコール依存症入院医療管
理加算の算定にあたり医師等に求められる研修に準じたものであること
② 本製剤の効能・効果に関連する使用上の注意において「アルコール依存症の診
断は、国際疾病分類等の適切な診断基準に基づき慎重に実施し、基準を満たす場
合にのみ投与すること。」、「アルコール依存症に伴う精神・身体症状及び患者の意
思を総合的に勘案し、断酒ではなく飲酒量低減を治療目標とすることが適切と判
断された患者に対して本剤を投与すること。」及び「飲酒量低減治療の意思のある
患者にのみ使用すること。」とされているので、投与に当たっては十分留意するこ
と。
③ 本製剤の用法・用量に関連する使用上の注意において「本剤の投与継続及び治
療目標の見直しの要否について定期的に検討し、漫然と投与しないこと。」とされ
ているので、3ヵ月ごとを目安に治療の評価を行うこと。」

という条件が課されており、専門医のいる施設でしか現状使えない。

 

セリンクロの審査報告書では

http://www.pmda.go.jp/drugs/2019/P20190109002/180078000_23100AMX00009_A100_1.pdf

7.R.6 本剤の適正使用について「② 心理社会的治療を含むアルコール依存症治療が実施可能な体制があること。」に対し申請者より②について、臨床試験では、外部機関によるトレーニングを実施し、認定テストを完了した評価者のみ BRENDA 法の実施が認められていたが、類似の要素を持つニコチン依存症患者の禁煙指導時に特別なトレーニングを行うことなくプライマリケア医等による治療が行われていることを踏まえると、非専門医であっても問題なく心理社会的治療の実施は可能と考えることを説明した。なお申請者は、医療従事者向け情報提供資材に BRENDA 法を踏襲した手順を記載することで、実臨床においても臨床試験と同レベルの心理社会的治療を行うことが可能と考えることを説明した。」となっており、申請段階でハードルを設定しないよう求めていた様子がうかがえる。

 

 

JJCLIP_#65 膝の痛みで困っている人にはサプリメントも有用なのでしょうか?を予習してみた

<はじめに>

 

 CASPで岡山にいるためリアルタイム視聴ができるか怪しいので記事にしてみた

 

<シナリオとお題論文>

 

・シナリオ諸々

pharmasahiro.com

 

・お題論文

Combined chondroitin sulfate and glucosamine for painful knee osteoarthritis: a multicentre, randomised, double-blind, non-inferiority trial versus... - PubMed - NCBI

PMID: 25589511

 

・事前登録情報

Study on Efficacy and Safety of Chondroitin Sulfate + Glucosamine Hydrochloride Versus Celecoxib in Knee Osteoarthritis - Full Text View - ClinicalTrials.gov

 

<シナリオのPECO立て>

 

 P:60歳前後(?)の変形性膝関節症(?)の女性常連客

今回はECOをいろいろ変えてみる

①E:コンドロイチン+グルコサミン

 C:なし

 O:痛み

②E:コンドロイチン+グルコサミン

 C:NSAIDs

 O:痛み、有害事象

③E:買い物量の制限

 C:今のまま

 O:痛み、生活満足度(QOL

 

<JJCLIPワークシートに沿って読んでみる>

 

ランダム化:タイトルに「randomised」

 

P:40歳以上の変形性膝関節症の患者、 Kellgren and Lawrence 分類2~3(軽度~中等度)、WOMAC301点以上(中等度~重度の痛み)

E:Droglican® | Bioibérica(コンドロイチン400㎎+グルコサミン500㎎) 1回2カプセル

1日3回毎食後

C:CELEBREX(セレコキシブ)200mg 1回1カプセル朝食後+プラセボ1日5カプセル(朝1、昼2、夕2)

O:(主)WOMAC痛みサブスケール(非劣性マージン:40)

 (副)WOMAC剛性サブスケール、WOMAC機能サブスケール、VAS、OMERACT-OARSI(レスポンダーの割合)、関節腫脹の有無の割合、関節滲出液の存在率、レスキュー薬の消費量(アセトアミノフェン錠500 mgの錠数、MAX6錠/日)、疾患活動性に関する患者の総合評価(PGA)および治験責任医師の総合評価(IGA)、患者および治験責任医師による治療に対する反応の総合評価、EQ-5D、有害事象、バイオマーカー

T:6ヶ月

 

※ Kellgren and Lawrence grades(X線画像での分類)

Radiological assessment of osteo-arthrosis. - PubMed - NCBI

 

アウトカムは明確?:1つなので明確

 

真のアウトカム?:とりあえず真でよさそう

(真ということにしないとここで終わってしまう)

(真か代用かを考えるときこのアウトカム以外すべて一緒だった時、介入する意味がありそうか?で判断するとわかりやすいかも)

 

ブラインドは?:タイトルに「double-blind」

(本文38ページもしくは登録情報では参加者、ケア提供者、研究者、アウトカム評価機関)

 

ITT?:per protocol、FASFASの解析結果はsupplementary

 

追跡率:86.1%(522/606)

 

Fig1:プロトコル違反に上下で「コンプライアンス不良」がカウントされているのはなんでだろう?

 

患者背景:Table1、大きな偏りはなさそう

 

結果:(主)E群-185.7、C群-186.8 差-1.1(95%CI:-22.0~19.8)で非劣性

有害事象はE:51.0%、C:50.5%と差なし

(心血管イベントまたは胃腸イベントの既往歴は予め除外されている)

 

<まとめ>

 

先行研究(GAIT、プラセボ対照)では有意差なし。

 どうでもいいけど、プラセボに有意差をつけられなかった介入と非劣性だったセレコキシブの存在価値ってあるの?って方に興味が湧いたという(;^ω^) 

 有害事象(詳細な内容不明)も効果も大差のない結果に、積極的にコンドロイチン+グルコサミンをすすめるのはちょっと。

 シナリオでは効果を実感されており、コストに対する言及もないので続けても問題はなさそうだが。

 本人の満足度的にもお店の売上的にも「整形でよく使われる薬と効果では劣らないって研究ありました~」ってことで販売続行!

(医療用と市販の質の差は気にする方がよいかもしれないが)

zuratomo4.hatenablog.com

 

<視聴後追記>

 

Fig2のHがアセトアミノフェンの1月の使用量です。

開始時点から4か月間はコンドロイチン+グルコサミン群で使用量が有意に多い結果になってます。

4ヶ月以降は有意差なくなるんですね(コンドロイチン+グルコサミン群でレスキューが多いのは一貫しているが)

 

 

 

2019.2.23居酒屋抄読会in大都会、開催報告

<はじめに>

  2/24にCASP岡山が開催されるので、前夜祭として岡山駅近くの居酒屋で居酒屋抄読会を開催しましたので、今回は開催報告になります。

zuratomo4.hatenablog.com

 

<お題論文>

 

Antipsychotics, other psychotropics, and the risk of death in patients with dementia: number needed to harm. - PubMed - NCBI

PMID: 25786075

 

ツイキャス録音>

 

居酒屋抄読会in大都会1 - もちもちおもち(zuratomo) (@zuratomo4) - TwitCasting

居酒屋抄読会in大都会2 - もちもちおもち(zuratomo) (@zuratomo4) - TwitCasting

 

<読んでみる>

 

試験デザイン:症例対照研究(藤原先生よりコホート臭くね?という指摘)

 

P:65歳以上の認知症患者(退役軍人)

E:抗精神病薬ハロペリドール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン)、

 バルプロ酸抗うつ薬(三環系、MAO阻害薬は除く)

C:非使用

O:180日後の死亡

 

調整された交絡因子:性別、年齢、婚姻歴、疾患(うつ、統合失調症双極性障害、薬物乱用、PTSD、パーソナリティ障害、心筋梗塞心不全、脳血管疾患、COPD、リウマチ、消化性潰瘍、肝硬変、糖尿病、CKD、がん…など)ベンゾ系薬剤、オピオイド、入院日数、ナーシングホーム入居日数、提携機関など

※せん妄は除外されている

 

Table2より結果(死亡のリスク差とNNH)

 ハロペリドール 3.8(1.0~6.6)  26(15~99)

 オランザピン       2.5(0.3~4.7)  40(21~312)

 クエチアピン       2.0(0.7~3.3)  50(30~150)

 リスペリドン       3.7(2.2~5.3)  27(19~46)

 バルプロ酸           4.1(-1.0~9.2) NA

 抗うつ薬              0.6(0.3~0.9)  166(107~162)

 

<まとめ>

 

 認知症抗精神病薬を使うことで死亡リスクが上がることは知られた事実だが、本研究では死にすぎ(死亡数多い)のような。

 BPSDへの対応困難でやむなく使われているので、認知症抗精神病薬を使うことができなくなるといろいろ困ることに。

 リスクの程度を見積もる際の参考くらいにはなるかなぁ。

 なお、翌日のCASPと対象疾患が被ったのは偶然です。

 

日本のRCT報告の質は?(CONSORT声明順守率)

<はじめに>

 

 RCTそのものの質を報告した貴重な研究を紹介しましたが、報告様式の質の研究(これまた貴重)がありますので、そちらも紹介したいと思います。 

zuratomo4.hatenablog.com

 

<お題論文>

 

Quality of reports on randomized controlled trials conducted in Japan: evaluation of adherence to the CONSORT statement. - PubMed - NCBI

PMID: 19252352

 

<読んでみた>

 

①RQ

 

P:2004.1~2004.3.31までに発表された日本のRCT

O:CONSORT声明の順守率+倫理的配慮+資金源

 

②方法

 

データベース:MEDLINE

検索期間:2004.1.1~2004.3.31

検索語:RCT、JAPAN

評価者:二者以上独立→協議

出版:英語

 

③結果

 

Table1(背景):国内誌36%、専門誌98%、CONSORT声明採用誌11%、構造化抄録68%、サンプルサイズ50未満50%、並行群間試験92%

 

Table2(各項目の順守率)

 ・タイトルでRCTとわかる:81%

 ・イントロで研究背景説明してる:70%

 ・組み入れ基準がある:71%

 ・データ収集の場:46%

 ・介入の内容:93%

 ・目的もしくは仮説:94%

 ・アウトカムの定義:26%

 ・サンプルサイズの計算:23%

 ・打ち切り基準:7%

 ・ランダム割り付けシーケンス(乱数表)の発生方法:39%

 ・ランダム化の制限:21%

 ・隠蔽化:17%

 ・乱数表の作成者:15%

 ・誰が盲検化されているか:29%

 ・盲検化は維持されているか:0%

 ・プライマリアウトカムの統計処理:100%

 ・サブグループ解析の解析方法:11%

 ・被験者の流れを文章でしめしたか:30%

 ・被験者の流れを図でしめしたか:6%

 ・プロトコル違反と理由:45%

 ・募集とフォローアップ期間:8%

 ・ベースラインデータを示したか:91%

 ・解析にまわった数(ITT):53%

 ・結果の効果推定値と精度:8%

 ・サブグループ解析:3%

 ・有害事象の報告:54%

 ・結果の解釈:52%

 ・外的妥当性:61%

 ・これまでの研究との比較:98%

 

Table3(倫理、資金源)

 ・倫理委員会:82%

 ・インフォームドコンセント:91%

 ・資金源:20%

 

<まとめ>

 

 2004年の日本のRCTの報告様式はこんな感じだったという貴重な報告でした。

 論文では、CONSORT声明採択誌とそれ以外で結果を示しているのですが、入力の都合で全体の値のみを示しています。

 単年の研究では「まあ当時はこんなもんか」くらいしか感想が出てきません。経年での変化が知りたいところです。

 中国ではこうした質の研究も盛んにおこなわれていますが(論文発表×IFでボーナス出るとか聞いたけど真偽不明)、日本での質評価も見たい今日この頃。

 

 

コリンエステラーゼ阻害薬とメマンチンの認知症(アルツハイマー型に限らず)への効果は?

<はじめに>

 

 記事として書こうと読んでいたら、思わぬところで躓いてほったらかしになっていた論文になります。

 来る2/24の岡山CASPワークショップのお題論文になっていたので慌てて書くことにしました。

第24å CASP ã¯ã¼ã¯ã·ã§ããin岡山

 

<お題論文>

 

A Systematic Review and Meta-Analysis of the Effectiveness of Acetylcholinesterase Inhibitors and Memantine in Treating the Cognitive Symptoms of D... - PubMed - NCBI

PMID: 29734182

 

事前登録

https://www.crd.york.ac.uk/PROSPERO/display_record.php?ID=CRD42015025892

 

<読んでみた>

 

①RQ

 

P:認知症 ⇒Alzheimer disease (AD), vascular dementia (VaD), Parkinson disease dementia (PDD), dementia with Lewy bodies (DLB), frontotemporal dementia (FTD)

I:コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)、メマンチン

C:プラセボ

O:MMSE

 

②方法

 

データベース:Web of Science、MEDLINE、EMBASE、PsycINFO、CINAHL

検索期間:~2017.3

検索語:donepezil、galantamine、rivastigmine、memantine、Alzheimer*、vascular dement*、lewy* bod*、Parkinson* disease dement*、RCT

元論文:RCT Cochrane risk of bias toolで評価(low risk 14/80、unclear 21/80、high risk21/80)

評価者:二者独立(直接的な記載ないが)→協議

出版:英語のみ、参考文献・未出版→ICTRPなどを検索している、専門家連絡は記載なし、Fig3のFunnnel plotを見ると出版バイアスはありそう

 

③結果(80研究、88報)

Table1(集まった研究)

 ドネペジル40件、ガランタミン13件、リバスチグミン14件、メマンチン13件

 AD55件、VaD9件、AD+VaD4件、PDD or DLB10件、FTD3件

 コリンエステラーゼ阻害薬:73.8歳 MMSE18.6、メマンチン75.9歳 MMSE16.5

 

 ※以下からMMSEの平均変化量(MD)+95%CIで表記。すべてRandom-effect model

Fig2(コリンエステラーゼ阻害薬、3か月)

 ドネペジル3~5mg:1.15(0.69~1.61) I2=85.0%

 ドネペジル10mg:1.07(0.91~1.23) I2=0%

 ガランタミン:1.10(0.83~1.36) I2=75.1%

 リバスチグミン:0.98(0.82~1.63) I2=68.4%

 コリンエステラーゼ阻害薬計:1.08(0.92~1.23) I2=82.4%(2/24追記:本文では68.2%)

 

Fig4(コリンエステラーゼ阻害薬、6か月)

 ドネペジル5mg:1.52(0.74~2.30) I2=89.8%←効果推定値0.47~1.44で収束していない

 ドネペジル10mg:1.13(0.94~1.33) I2=0%

 ガランタミン:1.39(0.79~2.00) I2=93.8%

 リバスチグミン:0.69(0.43~0.95) I2=59.1%

 コリンエステラーゼ阻害薬計: 1.00(0.83~1.16)I2=69.9%

 

※ドネペジル5mgのsubtotalの値が収束しておらず、フォレストプロットを見ても視覚的にもおかしくなっている。

2/9にAHEADMAP幹事の岡本先生に相談したところ、結婚式4次会(カラオケ)返上で精読していただけた。結果、ドネペジル5mgと10mgのsubtotalの値が入れ替わっているのではないかとのご指摘をいただいた。岡本先生、ありがとうございます。

 

2/24追記:南郷先生より入れ替わっているというより謎操作で効果推定値が高く見積もられたのではないかとのご指摘をいただきました。

RevManで色々再現できないか試しては見たものの結局何が起こって変なことになっているのかわかりませんでした。

 

Fig5(コリンエステラーゼ阻害薬、12か月、試験数が少なすぎてI2表示できず)

 ドネペジル10mg: 1.52(0.38~2.66)

 ガランタミン:0.58(0.27~0.90) 

 リバスチグミン: 1.40(1.12~1.68)

 コリンエステラーゼ阻害薬計:1.10(0.48~1.72) I2=79%

 

Fig6(メマンチン)

 3か月: 0.65(0.37~0.94)I2=0%

 6か月: 0.40(0.05~0.75)I2=19.7%

 12か月: 0.41(-0.44~1.26)I2=0%

 

2/24追記:フォレストプロットで同一研究でいくつも箱ひげが描かれている。どうやら同一試験内の用量違いを別個にプロットしたようだ。ただ、Fig2ではひげの書き忘れも見られる。

 

<まとめ>

 平均してMMSEで1点前後の改善となったが、このくらいの変化では多くの人で効果を実感できないだろう。

 使ってみて効果(介護者の介護負担感の軽減など)を感じたら継続、効果が見られなければ他剤へ変更・中止といったところが現実的だろうか。(薬剤服用=治療と考える人が少なくないので、配慮のない中止は危険だが)

 もちろんコリンエステラーゼ阻害薬もメマンチンも「見かけの」認知症進行抑制効果しか持たないので、こういった薬剤を「認知症治療薬」と呼ぶのには個人的に違和感があるのだが。

 この研究は認知症の種類を問わずに統合してしまっているので、薬剤効果の出にくいタイプの認知症と出やすい認知症での効果をごちゃまぜにしていることにも気を付けたい。

 

2/24追記:CASPワークショップでは本研究に対して「雑な仕事」ということで参加者間の評価は一致した。

2019.2.17(日)、兵庫医療大学 Student CASPに参加してきました

<はじめに>

 去る2/17に兵庫医療大学にて開催されたStudent CASP Workshopに参加してきましたので報告します。

 

<お題論文>

 

SGLT2 inhibitors for primary and secondary prevention of cardiovascular and renal outcomes in type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysi... - PubMed - NCBI

PMID: 30424892

 

<批判的吟味>

 

・研究課題

P:2型糖尿病

I:SGLT2阻害薬(エンパグリフロジン、カナグリフロジン、ダパグリフロジン)

C:プラセボ

O:(有効性)3P-MACE(心筋梗塞脳卒中、または心血管死)、心血管死+心不全による入院、腎疾患の進行

 (安全性)下肢切断、骨折、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)

 

・方法(メガトライアルのメタ解析なのでSRの評価が当てはまるのか不明だが)

データベース:MEDLINE、EMBASE

検索語:2型糖尿病、3P-MACE、SGLT2阻害薬(エンパグリフロジン、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、ertugliflozin)

 ※ertugliflozinはFDAが承認した4剤目のSGLT2阻害薬(日本未発売)

Steglatro (ertugliflozin), Steglujan (ertugliflozin and sitagliptin), Segluromet (ertugliflozin and metformin hydrochloride) Tablets

STEGLATRO™ (ertugliflozin) | Official Site

検索期間:~2018.9.24

元論文:RCT(CANVAS Program、EMPA-REG OUTCOME、DECLARE-TIMI58)、risk of biasはすべてlow

 

 個々の論文の記事は以下のリンクよりどうぞ(CANVAS Program記事にしてなかったっけ?)

 

zuratomo4.hatenablog.com

 

 EMPA-REG OUTCOMEは以下のリンクになります

zuratomo4.hatenablog.com

 

評価者:二者独立→協議

出版:英語のみ 参考文献などは不要(もともとSGLT2阻害薬の3つのメガトライアルのメタ解析が目的であったため)

 

・結果(統合はすべてfix-effect modelで行われている+統合された総計がすべて本文から除外されている)

 

FigS2(3P-MACE) HR0.89 95%CI(0.83~0.96) I2=0%

FigS9(心血管死+入院) HR0.77 95%CI(0.71~0.84) I2=50.7%(エンパが外れ値)

FigS17(腎) HR0.55 95%CI(0.48~0.64) I2=0%

FigS18(下肢切断) HR1.26 95%CI(1.06~1.51) I2=79.1%(カナが外れ値)

FigS19(骨折) HR1.11 95%CI(1.00~1.23) I2=78.2%(カナが外れ値)

FigS20(DKA) HR2.20 95%CI(1.25~3.87) I2=0%

 

<まとめ>

 

 TIMIグループによるSR&MA。(DECLARE-TIMI58の結果が出た時点でMAする予定だったとの記載あり。また、PRISMAチャートでDECLARE-TIMI58が検索によらず解析にねじ込まれていることからもDECLARE-TIMI58のためのMAであることがわかる)

 ダパグリフロジンがプラセボに対し有意に心血管イベントを減らせなかったため、他のSGLT2阻害薬とMAすることでクラスエフェクトを謳いに出た敗者復活戦のような研究といったところだろうか?

 脱水や感染症(尿路感染)がアウトカムに加えられていないのが気になる。また、異質性が高いアウトカムまでfix-effect modelで処理するべきではないと思う。結果として有効性でも安全性でもrandom-eefect modelなら有意差が消えそうなのもがちらほら。

日本のRCTの質はどの程度か?(2010年での評価)

<はじめに>

 

 前回記事で日本のRCTの質はどうなっているのか?という疑問がわいたので、日本で行われたRCTの質を評価した論文を読んでみることにしました。

 

(参考:前回記事)

zuratomo4.hatenablog.com

 

<お題論文>

 

Are Japanese randomized controlled trials up to the task? A systematic review. - PubMed - NCBI

PMID: 24595104

 

<読んでみた>

 

①リサーチクエスチョン

 

P:日本のRCT(2010年に報告されたもの)→うち60%をランダムに抽出

E/C:(該当なし)

O:コクランrisk of bias tool(2009)で評価

 

②方法

 

データベース:MEDLINE、EMBASE、CINAHL、PsycINFO、医中誌

検索期間:2010.1.1~201012.31

検索語:blind,placebo,RCT,randamization,Japanなど

元論文:RCTYのみ

評価者:二者独立→協議

出版:英語、日本語

 

③結果

 

・集まった論文(1013報)の内訳

 疾患     ⇒循環器15.9%、消化器11.5%、内分泌代謝11.2%、筋骨格系9.8%…

 介入の種類  ⇒薬物49.9%、理学療法10.5%、デバイス8.5%…

 比較対象   ⇒head-to-head45.0%、placebo38.9%…

 デザイン   ⇒並行群間75.2%、クロスオーバー20.2%…

 アームの数  ⇒2群77.1%、3群15.7%…

 サンプルサイズ⇒50未満54.5%、50~99 19.6%、100~199 12.9%…

 

・質の評価(出来ている vs 不明 vs 出来ていない) 

 ※数字で示されていないので表からおおよその数値を読み取っています、注意!

ランダム化できてるか?:30%、70%、0%

隠蔽はできているか?:20%、75%、5%

患者をブラインドしたか?:50%、35%、15%

医療者をブラインドしたか?:45%、40%、15%

アウトカム評価者をブラインドしたか?:15%、80%、5%

脱落率の報告はしたか?:70%、15%、15%

割り付けられた患者はアウトカム評価にまわされた?:45%、30%、25%

アウトカムはすべて報告したか?:5%、95%、0%

ベースラインは均等か?:65%、30%、5%

介入以外の処置は等しいか?:55%、35%、10%

コンプライアンスは許容される範囲か?:45%、50%、5%

アウトカムの評価時期は両群で近しいか?:95%、3%、2%

 

・発表されたジャーナルと質(high quality)

 国際誌50.5%、国内誌(事前登録あり)50%、国内誌(事前登録なし)37.7%

 

<まとめと感想>

 

 ディオバン事件後に行われたディオバン事件頃のRCTの質を報告した貴重な論文。

個人的にはCOIや資金源に関する調査もわかりやすい形で示してしてほしかった。(ディスカッションの項目で80%が非開示との記載あり)

 著者らは日本のRCTの特徴としてサンプルサイズの小ささをあげている。個人的には研究資金の少なさの表現型だと思っている。ディオバン事件後、メーカーからの資金提供は難しくなっており、現在同じ調査をするともっとサンプルサイズの小型化が進んでいるのではないだろうか?

 あと、大きな破綻は見られないが「不明」がやたら多いような気がする。

 単年の評価ではなく複数年にわたる比較調査は欲しい。(だれか一緒にやりませんか?)

 

 今回の論文に関連した「抄録から質を予測する」論文をエビデンス展覧会(エビテン)で取り扱いましたので、よろしければご覧ください。

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