ネットワークメタ解析チェックリスト改訂への道⑥~メトホルミン治療の次の選択肢はどれがいいですか~
4/1、薬価改定でバタバタの時期の貴重過ぎる日曜日にもかかわらず、多くの方にご参加いただき、第2回AHEADMAP×EBM倶楽部ジョイントワークショップを盛会のうちに終えることができました。ご参加の皆様、兵庫医療大学の清水先生はじめEBM倶楽部の皆様ありがとうございました!
ワークショップが終わって、モンハンで一狩りし終わったので、まだ記事化できていないネットワークメタ解析の論文を読んでいきたいと思います。
今日のお題論文はコチラ
PMID: 25919293
先ずはアブストラクトから情報を拾っていきます。
P:メトホルミン単剤(1500mgか最大耐用量を4週以上使って)でコントロール不良の2型糖尿病患者
I/C:FDA、EUで承認された25薬剤(インスリン製剤以外の血糖降下薬+持効型インスリン)
O:(有効性)HbA1c、体重、収縮期血圧(安全性)低血糖、尿路感染、生殖器感染
まるでSGLT2iに特化したかのような安全性のアウトカムが光ります。
本文から追加情報を拾っていくと(追加情報は赤字で表示。英字は日本未発売)
P:メトホルミン単剤(1500mgか最大耐用量を4週以上使って)でコントロール不良の18歳以上の2型糖尿病患者
I/C:FDA、EUで承認された25薬剤(インスリン製剤以外の血糖降下薬+持効型インスリン)
αGI:ミグリトール(セイブル)、アカルボース(グルコバイ)
DPP4i:アログリプチン(ネシーナ)、リナグリプチン(トラゼンタ)、サキサグリプチン(オングリザ)、シタグリプチン(ジャヌビア/グラクティブ)、ビルダグリプチン(エクア)
胆汁酸吸着薬:colesevelam(コレスチミドの類似薬。下記は参考)
高コレステロール血症治療薬「ウェルコール」の2型糖尿病に関する適応追加申請について - ニュースリリース - 第一三共株式会社
グリニド系:レパグリニド(シュアポスト)、ナテグリニド(スターシス/ファスティック)
GLP1アナログ:エキセナチド(バイエッタ)、リキシセナチド(リキスミア)、リラグルチド(ビクトーザ)
持効性インスリン:インスリングラルギン(ランタス)
SGLT2i:カナグリフロジン(カナグル)、ダパグリフロジン(フォシーガ)、エンパグリフロジン(ジャディアンス)
SU:グリベンクラミド(オイグルコン/ダオニール)、グリクラジド(グリミクロン)、グリメピリド(アマリール)、glipizide
TZD:rosiglitazone、ピオグリタゾン(アクトス)
合剤:アログリプチン+ピオグリタゾン(リオベル)、empagliflozin/linagliptin
O:(有効性)HbA1c、体重、収縮期血圧(安全性)低血糖、尿路感染、生殖器感染
12~52週で評価
実際に集まったのは、50~62歳、BMI30.8、SBP131、HbA1c8.0%の患者さん。
リサーチクエスチョンが明確になったところで、システマティックレビューの評価へ
・データベース:MEDLINE、CENTRAL
・検索期間:~2014.5
・元論文バイアス
RCT(Blindは問わない)、risk of bias toolで評価(FigS2.不明評価が多い)
・評価者バイアス
二者独立→話し合いで決着つかない場合は第三者介入
・出版バイアス
英語のみ。リファレンスは探している。専門家への連絡はない。ファンネルプロットはないがEgger's testをしている(研究数が少ないのでやる意味があったかは不明)
・異質性バイアス
事前登録情報なし。PとOは統合可能(診断、検査性能の違いはありそうだが)
EU系ならEMBASEは見ても良かったかもしれない(糖尿病のRCTなら英語だけでも十分そうだが)
ネットワークメタ解析の評価
・ネットワーク図
Fig2に示されてはいるが、何のアウトカムについてかの説明がない。(研究の組み入れ基準がHbA1cの報告なので、HbA1cである可能性が高そう)
・閉じた環
少数(研究数1が多い)
・直接比較、間接比較
示されている(Table2:有効性、Table3:安全性)
・一致性
示されていない
(95%CIを見る限りTable2では一致性は高そう。Table3は不一致性が高そう)
・資金源、COI
資金源はベーリンガー。COIはベーリンガーとヤンセンファーマ(ランク付けはない)
結果(Table2とTable3)
(有効性)
HbA1c SU
体重 SGLT2iとDPP4iは低下に働く
収縮期血圧 SGLT2i
(安全性)
低血糖 SUとグラルギンは増加させる
尿路感染 有意差をもって増加させるものはなかった
生殖器感染 カナグリフロジン、エンパグリフロジンで増加
研究数が少なく、結果の示し方もわかりにくいため、どう利用したらいいのか?というのが読んでみての感想。集めた研究の質も微妙であるため、確信性の高い情報を得るには今後の研究待ちといったところか。