るるーしゅ先生から「るるーしゅが命じる!とにかく読め❕」と言われた緑内障治療薬の防腐剤に関するナラティブレビューを読んでみた
<背景>
前回の記事を投稿したところ、黒の薬剤師会の首領である「るるーしゅ先生」より以下のようにお題が与えられましたので、読んでみました。
るるーしゅ先生のブログ:黒の薬剤師会
なお、当ブログは強敵(とも)たちのブログには入れてもらってません(´;ω;`)
途中から初心者置き去りも辞さないクソブログになったことが原因でしょうか?
(´;ω;`)<初心者向けってどうやってやるの?
<お題論文>
Glaucoma therapy: preservative-free for all? - PubMed - NCBI
PMID: 29713138
コペンハーゲン大学病院の先生によるナラティブレビューです。
本ブログでナラティブレビューを扱うのは初めてです。たしか。
システマティックレビューと異なり、一定のストーリーのもとに文献が紹介されるため、研究の流れは読みやすいですが、あくまで著者の先生の意向に沿った文献しか紹介されません。
そのため、いつものような批判的吟味はできませんので、内容をかいつまんで紹介したいと思います。
頭の番号はリファレンスの番号です。
<内容>
・25.点眼使用者の角膜障害の有病率(横断研究)
→9658名(防腐剤の有無は関係なし)中74%に見られた。症状は防腐剤有り群で多かった。
Ocular symptoms and signs with preserved and preservative-free glaucoma medications. - PubMed - NCBI
・34.ラタノプロストの防腐剤入りと防腐剤無し製剤の直接比較(非劣性試験)Fig3,Fig4の図のもとになった試験
I:防腐剤フリーのラタノプロスト(T2345)
C:防腐剤入りのラタノプロスト(キサラタン)
O:平均IOP低下(84日)でT2345-8.6±2.6mmHg(-36%)vs キサラタン-9.0±2.4mmHg(-38%)で有効性では非劣性。
充血は T2345群21.4% vs キサラタン群29.1%; p=0.02
※全文フリーでないので確認できなかったが、Fig3の開始時のズレはなんだろう?ランダム化がうまくできてない?
・26.防腐剤入りチモプトールから防腐剤フリーのチモプトールへ切り替え
結膜充血の割合は24.4%から14.6%に減少。
※本論文中では「同じレジメン」と紹介されているが、アブストラクトを確認する限り防腐剤入りチモプトールは1日2回で、防腐剤フリーのチモプトールは1日1回投与。本文がフランス語で、要登録なので読めない(´;ω;`)
・36.防腐剤入りラタノプロスト(Xalatan)から防腐剤フリーのトラボプロスト(Travatan Z)へ切り替え
角膜上皮障害をOSDIスコアで比較したところBAK-free travoprost 0.004% group (score = 11.6 ± 10.8 units) vs BAK-preserved latanoprost 0.005% group (score = 14.4 ± 11.9 units)で防腐剤フリーの方がスコアが小さかった。
※トラバタンズの最後って大文字だったのか(;^ω^)<シランカッタ
・38.前回記事の論文。
アドヒアランス部分は省略。
「どんな患者がいい?」→角膜上皮障害(OSD)のある患者、高齢者、40代くらいの早発性緑内障、若年者の手術前のコントロール、PCつかう職場にいる人(ドライアイが多い)、リスクファクター持ち、女性、コンタクトレンズ使用者、アジア人(アジア人はドライアイが多い)
⇒要は全員じゃねえか
<まとめ>
防腐剤フリー推しのナラティブレビュー。
網羅性がなく本当に防腐剤フリーが優れていると結論していいのかは不明。
個人的に読んでいて気になったのは、「有害事象が多いとアドヒアランスは低下する。防腐剤フリーは有害事象が少なくアドヒアランスが良い」という論調だったが、薬剤効果の指標である眼圧(IOP)の低下に紹介された文献ではどれも防腐剤の有無は影響していないのだが、、、
解析が脱落を考慮しないPPS解析(試験完遂者のみの解析)だからだろうか?もちろんそんな考察も記載もないが。